HYROXレース前72時間の栄養・補給ガイド — 当日朝からレース中・完走後まで

HYROXは1時間半〜2時間半、高強度で動き続ける競技です。走力や筋力と同じくらい、「エネルギー切れを起こさない補給計画」が完走の質を左右します。この記事では、レース3日前から当日、そして完走後までの食事・補給の基本方針を時系列でまとめます。
013日前〜前日 — 炭水化物を「積む」
レースの主エネルギー源は糖質(グリコーゲン)です。3日前あたりから、ごはん・パスタ・餅などの炭水化物を毎食しっかり摂り、体内の貯蔵を満たしていきます。マラソンほど極端なカーボローディングは不要で、「いつもより主食を1品増やす」はあくまで手軽な目安のひとつです(必要量は体格・練習量により異なります)。前日は、脂っこいもの・食物繊維の多すぎるもの・初めて食べるものを避けるのが鉄則。胃腸トラブルは当日最大の敵です。
02当日の朝 — スタート3時間前までに済ませる
- タイミング:消化の時間を考え、スタートの約3時間前までに朝食を終える。早朝ウェーブなら量を減らして2時間前でも可。
- 内容:おにぎり・バナナ・カステラ・トーストなど、糖質中心で消化のよいもの。タンパク質と脂質は控えめに。
- 直前:スタート30〜60分前にエナジージェル1本またはバナナ半分+水。ここで満腹にしないこと。
- カフェイン(任意):普段から飲み慣れている人は、スタート45〜60分前のコーヒー等が集中力に効くとされます。慣れていない人は当日に試さない。
03レース中 — 飲み方は「自分の計画」に従う
水分はRoxzone内の給水所で摂れます。飲み方の基本は、喉の渇きに従うか、練習で事前に試した自分の給水計画に従うこと。「毎回必ず飲む」と無理に飲み続ける必要はありません。水分の摂りすぎは、運動関連低ナトリウム血症という深刻な状態の原因になり得ます。必要量は体格・発汗量・会場の気温で大きく変わるため、練習中の給水量を自分の目安にしましょう。補給の一般的な目安として、60分を超える高強度運動では1時間あたり30〜60gの糖質摂取が検討されます(ISSNの栄養タイミングに関する見解)。ただし必要量は完走時間・体格・当日の食事・胃腸の耐性で大きく異なるため、必ず練習で自分に合う量とタイミングを確認してください。摂るならローイング前後が飲みやすいタイミングです。自分の補給食はスタート時から携帯するルールで、観客からの受け取りは外部援助になる点に注意(「ルールガイド」参照)。
| 想定完走タイム | レース中の補給目安 |
|---|---|
| 〜1時間30分 | 給水のみで完走可能な人が多い |
| 1時間30分〜2時間 | 中盤にジェル1本+こまめな給水 |
| 2時間以上 | ジェル1〜2本+こまめな給水。電解質入りドリンクも有効 |
表の本数はあくまで一例です。必要量・要否は個人差が非常に大きいため、必ず練習で自分に合う量とタイミングを確かめてください。
04完走後の補給 — 早めのリカバリー食
完走後はなるべく早めに「糖質+タンパク質」を摂るのが定石です。かつて強調された「30分以内」という時間枠は絶対的なものではなく、その後の食事全体で十分補えるとする見方が現在では一般的ですが、早めに摂って損はありません。おにぎり+プロテイン、バナナ+牛乳などが手軽です。その日の夕食は普通にしっかり食べ、水分は尿の色が薄い黄色に戻るまでこまめに。翌日以降のリカバリーは「ケガ予防とリカバリー」も参考にしてください。
05やりがちなNG
- 当日の新メニュー:ジェルも朝食も、必ず練習(特に複合練習の日)で試したものだけを使う。
- 直前の食べすぎ:スレッドとバーピーで胃が揺れます。「少し物足りない」が正解。
- 水の一気飲み・飲みすぎ:一度に大量に飲むと胃に溜まって走れないうえ、過剰摂取は低ナトリウム血症のリスクにもなります。喉の渇きと自分の計画を基準に。
一般的なスポーツ栄養学の原則に基づく編集部作成/HYROX公式ルールブック(補給・外部援助の規定)
ISSN「栄養タイミングに関するポジションスタンド」(糖質30〜60g/時の目安):pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
運動関連低ナトリウム血症に関する国際コンセンサス声明:pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
※医学的助言ではありません。持病・服薬がある場合は専門家にご相談ください。(情報確認日 2026.08.22)
